(音声:天馬 トモエさん)
今年、重度知的障害のある私の弟は
40歳を 迎えます。
わたしが きょうだいとして生きた時間も、
いよいよ 40年になろうとしています。
両親も70代に 突入しました。
わたしは18歳で、実家を 離れました。
今は東京で、自分の家族(夫と子どもたち)と
暮らしています。
弟は30歳ごろ 実家を離れて、
地元のグループホームで 暮らし、
約10年になります。
父母は地元で、二人で 暮らしています。
それぞれの生活は
今のところ 快適なのですが、
そろそろ 一度、将来や老後への
準備や 話し合いをしようと
顔を合わせるたびに 話していました。
しかし実際、その機会は、
ずいぶん 先延ばしになってきました。
私自身も、どこか、
この話題を 避けてきた気がします。
それぞれ元気で、楽しく 暮らしていて、
「今は 考える必要がない」
と思ってしまうからでしょうか。
本音を言えば、
「うーん、考えていても、
実際どうなるか
わからないしなぁ……(思考停止)」です。
仕事柄、いろんなケースを
知っているせいも あるでしょうが、
ひとまず 今、うまくいっているから
それでいいと思って
ついつい、先送りにしてしまっていました。
とはいえ、私は この先、
弟と 一緒に暮らすことは 考えていません。
私は 実家方面に
住居を移すことは ないでしょう。
弟もまた 将来、
私の近くで 暮らしたいとは
思っていないでしょう。
父母には父母の、私には私の、
そして 弟には弟の 人生があります。
しかし、弟の問題だけでなく、
両親には それぞれ持病もあり
健康上の心配も あります。
それぞれが、
自分が これからしたい暮らしを 考えたり、
あるいは 維持するためには
どうしたらいいかを
考えておくのも 大切だなと、
それぞれが 思い始めました。
というわけで、私の実家では、
「重度知的障害のある弟も、
ついに今年 40歳。節目の年。
今年のうちに 必ず、
それぞれの今後について
話し合いをしよう」
ということだけを、年初に 決めました。
実家に両親、
実家の近くのグループホームに 弟、
東京に 私。
面と向かっての話し合いは、
夏と冬の 帰省のタイミングのみ。
はたして、情報共有や 話し合いは、
うまくいくのやら。
というわけで、今年度の 打浪のコラムは、
弟の今と これからに向けて 思うこと、
我が家の話し合いの準備や 過程、
様子などを エッセイとして、
1年間にわたり
実況していきたいと思います。
実際には、
実況するほどの 大きな動きには
ならないかもしれませんが、
40代同士のきょうだいが
親亡きあとについて 考えること・思うことを
研究者としてではなく、
当事者として
できるだけ率直に(できれば面白く)
書いてみたいと思います。
読者の皆様、どうか
自分のこととして 身に迫ってきた
介護や 「親亡き後問題」に
立ち向かう勇気をください……!
コラムを通して1年間、
そっと お見守りいただけますと 幸いです。
どうぞよろしくお願いします。
(文:副代表・打浪 文子)
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