(音声:天馬 トモエさん)
まずは 1つ例文を 書きます。
「硬い文章の書き方講座の受付は ここです。」
こんな講座が 本当にあったら 困りますが、
あくまで 例文です。
日本語を書くときには
いろんな種類の文字を 使います。
上の例文のように、
ひらがな、カタカナ、漢字
の3種類が 主に使われます。
世界の言語の中で、
違う種類の文字を混ぜて使う言語は
ほとんど ありません。
日本語は かなり珍しいです。
さらに 珍しくて やっかい(?)なこと
それは、どの文字を使うかが
「何となく」決まっていることです。
たとえば さっきの例文では
ひらがなだった「ここ」を
カタカナで「ココ」と書いたり
漢字で「此処」と書いたりできます。
でも、だいたいは ひらがなだと思います。
「受付」は、送り仮名を どうするかで
書き方が 分かれますね。
「け」を最後につけた「受付け」や
「受け」にもつけた「受け付け」があります。
さらには、「付け」を ひらがなにするパターンも
あります。
新聞記事などでは 書き方が決まっていますが、
日常の文章では 多くの場合、
個人の好みになっていると思います。
ただ、「受け」だけに送り仮名をつけた
「受け付」は あまり見かけません。
これだけ たくさんのパターンがあって
なんでも よさそうなのに、
「こういう書き方は あまりしない」
というのが ある。
そして それが 何となく共有されているのは
(学校教育の影響も あるでしょうが)
考えてみたら 不思議なことです。
「かたい」を どう書くか
漢字の使い分けに迷う人も
多いと思います。
「かたい」の場合は
いちおう目安があって、
反対語が 何になるかで 使い分ける
という方法が あります。
「軟らかい」の反対語になるのが
石偏の「硬い」(たとえば「硬い鉛筆」)
「もろい」の反対語になるのが
下が土の「堅い」(たとえば「堅い木材」)
「ゆるい」の反対語になるのが
四角の中に 古い という字の「固い」
(たとえば「ネジを 固く しめる」)
このような使い分けは、
新聞の文章などで ばらつきが出ないように
決めてあるものです。
別の漢字を使っても
誤解につながるものではないので、
ふだんの文章で
きっちりと使い分けなくても 大丈夫です。
そもそも、完全に使い分けるのは 難しいです。
それに、ひらがなで書いても いいのです。
現代の日本語の文章は 特に
「一つの正解がある」
と思われている感じがします。
わたし自身、日本語の教師として
そういった「正解」を教えてきた経験が あります。
でも、
「もう少し 肩の力を抜いてみませんか?」
とも思うのです。
今年度のコラムでは、
文章、特に わかりやすい文章を書くときに
迷いがちな点を テーマにしていきます。
めざすところは、
「気楽に書き、しっかりと伝わる」ことです。
今年度も よろしくお願いいたします!
(文:副理事長・羽山慎亮)
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