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「若いときは失敗を恐れずに挑戦しよう。
何度失敗してもやり直せばいいじゃないか」。
子どもの貧困や子育てをテーマにした
大学のオンライン授業でそう言ったところ、
ひとりの学生がリアクションペーパーで
「先生の意見には共感できません」
と書いてきました。
「失敗したことに対してのしわ寄せが来るし、
やり直せるとの考えで行動するのは
軽率だと思います」
というのです。
何か個人的な事情があるのかもしれないし、
私が軽いノリで言ったように感じて
反発されたのかもしれません。
この学生に限らず、
批判されたり失敗したりすることを
学生たちが恐れる場面に
最近よく出会います。
ネットでの炎上を経験すると
何か発信するのが怖くなる、
そんな心理はよくわかります。
高度成長もバブルも知らない世代にとって、
「失敗してもやり直せばいい」
という楽観論が
無責任に思われるのかもしれません。
たしかに、就職氷河期世代が
その後の人生においても
苦しい状況のままなのを見ると、
簡単にはやり直せない社会の現実を
認めざるを得ません。
昨年9月にユニセフが発表した
各国の子どもの幸福度調査では、
日本の子どもは「身体的健康」は
調査対象国38か国のなかでトップですが、
「精神的幸福」は下から2番目の37位でした。
子どもたちの自殺、不登校、いじめは
このところ過去最多を更新しています。
身体的な健康は優れているのに、
幸福を感じられない日本の子どもたちの
実像が浮かびます。
文部科学省の調査でも
日本の子どもの自己肯定感は、
諸外国の子どもたちと比べて
著しく低いことが示されています。
家族や友達や学校などに信頼と安心を感じ、
自分を肯定できるからこそ、
失敗の伴う冒険や挑戦ができるのだと思います。
失敗を恐れる子どもを責める気にはなりません。
問われているのは社会の側だと思います。
菅義偉首相は
こども庁の創設を打ち出しています。
何を目指しているのかは
まだよくわかりませんが、
子どもが安心して失敗できる社会に
しなければと思います。
(文:代表・野澤 和弘)
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