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大谷翔平選手らの活躍で
盛り上がった WBCですが、
テレビでは プロ野球中継が
めっきり少なくなりました。
かつては 午後7時~9時の
ゴールデンタイムには
毎日のように
関東地方のテレビ局は
巨人戦の放送を 流していたものです。
いつのまにか 地上波では
あまり見かけなくなり、
今年に入ってからは
衛星放送でも 少なくなりました。
民放は スポンサーからのCM収入で
経営が 成り立っています。
視聴率が良い番組は
スポンサーが 集まり
CM料も 高くなります。
逆に 視聴率が低いと
スポンサーが 集まりません。
1980年代は プロ野球放送は
平均視聴率が
20%を超えていました。
ところが最近は 平均8%前後にまで
落ち込んでいます。
そのため CMを出してくれる
スポンサーが 集まらないのです。
なぜ 視聴率が落ちているのかというと、
野球の競技人口が 減っているからです。
かつては リトルリーグや部活動で
野球をやる子が
他のスポーツに比べて
突出して多かったのが、
今は サッカーやバスケットボールや
卓球に 追い上げられています。
サッカーのワールドカップで
日本チームが 活躍したり、
オリンピックで
日本の卓球選手が
メダルを取ったりするのを 見て、
他のスポーツは
人気が 高まってきました。
国際化が 一つのカギです。
それに比べると プロ野球は
巨人や阪神など
国内のチームが 話題の中心でした。
世界的にも 野球をやる国は
限られていたため、
国際大会も 盛り上がりに欠ける面が
ありました。
テレビの番組編成が
難しいという理由も あります。
プロ野球は 1試合に
2時間以上かかることが 多く、
乱打戦になったりすると
さらに長くなります。
いつ終わるか わからないため、
一番盛り上がったところで
番組終了になったり、
放送を延長すると
後の番組を 延期したりすることがあり、
各テレビ局は
番組編成に 苦労しています。
最近は サッカーや
バスケットボールの試合が
放送されることが 多くなりました。
あらかじめ試合時間が
決まっているため
番組編成をしやすいのだなあと
思えてきます。
ただ、大リーグの野球中継は
大谷選手の出場する試合は
だいたい衛星放送で
見ることができます。
夜遅い時間帯には
大リーグを紹介する番組も あります。
千賀滉大投手や 吉田正尚選手のように
今年 大リーグにデビューした選手の活躍で、
ますます大リーグ中継には
人気が 集まりそうです。
国内のプロ野球も
実際に 球場を訪れる観客は
年々増えています。
球場が さまざまなファンサービスを
するようになり、
人気を 集めているのです。
特に車いす用のシートや
多目的トイレを 多数設置した
マツダスタジアムで試合をする
広島カープは、12球団でも
トップクラスの観客動員を
毎年記録しています。
バリアフリーを求める合理的配慮は、
ビジネスの面でも
大きな効果が あるのです。
野球ファンの視線は 世界に向かい、
野球以外のスポーツにも
ファンは 広がっています。
テレビ以外でも
野球や他のスポーツを
楽しむ人は 増えています。
茶の間で ビールを飲みながら
巨人戦のナイターを
観戦していた世代は
寂しいかもしれませんが、
多様性の時代の楽しみ方を
見つけようではありませんか。
(文:代表・野澤 和弘)